僕の学生時代から就職した当時は、ちょうどバブルの全盛期でした。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という言葉が、真顔で語られていた時代です。

一方、僕は高校・大学とアメフトをやっていたのですが、スポーツの環境だけを比べるなら、とても「ジャパン・アズ・ナンバーワン」なんて言葉は出てきませんでした。むしろ、日本のスポーツ文化の貧しさを痛感させられることの連続だったのです。
たとえば大学3年のころ、ハワイ大学の合宿に参加しました。そこで見たグラウンドの設備、ポジション別のミーティングルームやウエイトルームの環境は、すべてが想像を絶するレベルで、しかも指導してくれるコーチたちは全員がプロ。その実力から指導法まで、目からウロコの連続でした。
ハワイ大は、お世辞にも大きな大学とはいえませんし、アメフトが強いわけでもありません。一方、僕のいた大学は日本でも有数の大きな大学で、スポーツにも力を入れています。それなのに、ここまで環境が違うのです。
日本は決して豊かな国ではない、この環境をなんとか変えたい。20歳の学生ながら、そんな想いが芽生えました。
そして結局、このとき感じた違和感を忘れることができず、どうにか解決したいと思って起業に至ったのだと思います。
だから、これはキレイ事ではなく、「お金儲けがしたい」とか「この市場は成長する」とか、そんな損得勘定はゼロだったと断言できますね。ただ単純に「いい商品を選手たちに届けたい」という想いだけでした。
ベンチャー企業を起ち上げたというより、学生時代に感じた「違和感」と「想い」のために、自営業を始めたという感覚です。
おいしいラーメン屋さんを見つけたら、思わず友達に教えたくなりますよね? 僕が商売を始め、「アンダーアーマー」ブランドのウェアを取り扱うようになったのも、基本はこれと同じです。いい商品に出会って、思わず「こんなにすごい商品があるぞ」とみんなに広めたくなっただけ。人として、ごく自然な気持が現在につながっています。




