仕事人 その1
岡村隆史はチャレンジャーである。
これまでも、幾度となく未知の世界に飛び込み、練習し、自分のものにしてきた。やり始めたら、徹底的にやり抜き、ある地点まで到達しないと気がすまない人なのである。
たとえば2007年夏、岡村は「めちゃイケスペシャル」の中で、EXILEとの競演ライブに挑戦した。1ヵ月間猛特訓を受けて、EXILEのダンスチームとともに、4万人の観客の前に「オカザイル」として登場したのである。
練習の過程を追うセミドキュメンタリーでは、笑いの要素がふんだんに入っているものの、練習自体には真剣に取り組む姿勢が映し出された。そして東京ビッグサイトでのライブ当日、舞台上の岡村は、EXILEのメンバーと比べてもまったく遜色のない、軽やかな踊りを披露したのである。
「この期間は、移動中のクルマの中でも、自宅に戻ってからも、EXILEをずっと聴いていた。ステージが終わってからはもうEXILEはしばらく聴きたくないというぐらい、どっぷりと入り込んでいました」
と岡村自身は振り返る。
レギュラー番組の合間をぬって、深夜まで練習に没頭する37歳に対して、放送後、視聴者から多くの賞賛の声が寄せられた。それぐらい岡村がダンスを修得していく様子は感動的だったのだ。そして、それこそが岡村の底力だった。
岡村隆史は、もともと適当に流して仕事をする、ということができない質(たち)の芸人である。仕事は吟味し、慎重に選び出す。「めちゃ×2イケてるッ!」(フジテレビ系)が11年、「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系)が13年、ラジオの「オールナイトニッポン」(ニッポン放送系)が13年と長く続いてきたのも、仕事に対する岡村の姿勢が真摯だったからに他ならない。