野口聡一宇宙飛行士は、2009年後半から約半年間、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在する。普段の訓練はアメリカやロシアで行われているが、つくばで行われる訓練のために数日だけ日本に戻ってきた。超多忙なスケジュールの中、南波六太のために時間をあけてくれた!!
ムッタ、憧れの野口宇宙飛行士を直撃!!
ムッタ (ドキドキ、ドキドキ)は、はじめまして! 南波六太と言います。
野口 はじめまして。
ムッタ 早速ですけど、質問があります! 今、野口さんがどんな訓練をしているか、教えて下さい!
野口 2009年に若田光一宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS、以下同)に長期滞在するので、そのバックアップ搭乗員として一昨年くらいから一緒に訓練しているよ。光一(コウイチ)と聡一(ソウイチ)で、海外のスタッフからは「イチ・ブラザーズ」って言われているんだ。今年の秋までは、この訓練をしてるかな。
ムッタ 若田さんの次は、野口宇宙飛行士が、長期滞在するんですよね。どうやって決まったんですか?
野口 長期滞在する宇宙飛行士は、きびしい審査を受けてから国際会議で決まるんだ。数ヵ月おきにアメリカ、ロシア、日本、ヨーロッパ、カナダの代表が集まる会議が開かれて、そこで推薦されたんだ。正式決定したその日のうちに連絡が入ったよ。2008年5月だったかな。ヒューストンのジョンソン宇宙センターでちょうど訓練している時だったよ。バックアップ搭乗員は、古川聡宇宙飛行士がしてくれるんだよ。
ムッタ 2005年に宇宙に行った時と、今回はどこが違うんですか?
野口 僕がスペースシャトルで宇宙に行ったのは15日間。短い日程のなかでたくさんのことをやるので、分単位で予定が決まっているんだよ。頭の中で何度も予定を確認する。シャトルが打ち上げられると、轟音と激しい横揺れだよね。その時にも、「この横揺れも2分10秒までだ」とか「8分30秒経って無重力に入ったら、これとこれをやらないと」といろんなことをイメージするんだ。分刻み、秒刻みでいろんな作業をこなしていくのが大切だから、自由な時間がほとんどないね。短期フライトが全力で駆け抜ける100m走のような感じかな。
ISSでの180日間という長期滞在だと、そんなスケジュールを組むのは無理だよね。むしろ、どういう状況になっても対応できるように、気持ちも時間も余裕を持たせておくことが大切になってくる。長期滞在はペース配分が大切なマラソンみたいな感じだろうね。同乗者や地上スタッフとのコミュニケーションもより大切になるよね。
「長期滞在」してこそ一流の宇宙飛行士?
ムッタ やっぱり「長期滞在をしてみたい」って、ずっと思ってました?
野口 スペースシャトルの任務を無事にこなして帰ってきた後からかなぁ。次の目標について考えたんだよね。世界の宇宙開発は、アメリカとロシア(旧ソ連)の2つが大きな柱となって進んできたよね。それで僕は、スペースシャトルに乗る訓練をした時に、アメリカ型の知識や技術はある程度身につけた。今度はロシア型の知識や技術を学びたいと思ったんだ。その両方を知ってこそ、ようやく宇宙開発というものがわかるし、プロの宇宙飛行士と呼べるでしょ。それで、ロシアで訓練をすることが増えたんだけど、ロシアの宇宙飛行士は、「半年間長期滞在してこそ一流の宇宙飛行士」って思ってるんだよね。だから、じゃあ、僕もやってやるよ、て考えるようになったね。
ムッタ 長期滞在用の特別な訓練ってあるんですか?
野口 面白い訓練となると、サバイバル訓練だね。これはチームワークを強化するが一番の目的だよ。冬のサバイバル訓練だとシベリアの雪原に放り出されちゃうんだ。夏のサバイバル訓練は、海のサバイバルとして黒海に放り出されたり。そこで何日間かサバイバルしないといけないんだよ。キャンプの能力も身につくけど、3人の宇宙飛行士が、何日間か極限状態での生活を共にすることで、普通の訓練以上に信頼関係や覚悟が培われるんだ。
ムッタ 宇宙に180日間も連続で滞在するのに、不安はありませんか?
野口 精神的にも肉体的にも、負担は大きいだろうね。ただ、その負担や変化を味わってみたいという気持ちが強いかな。逆に「180日くらい平気だったよ」と笑える自分でもありたいと思って、訓練を頑張ってるよ。ただ、あんまり意気込んでみて2〜3ヵ月でダウンしちゃったら意味がないよね。だから、気負いすぎないつもりだよ。




