いま考えていること
──2012年には『ポテチ』の映画公開がありますね。
伊坂 ここ数年、自作の映像化についてはあまり積極的ではありませんでした。いろいろ理由はあるんですけど、やっぱり、僕がやりたいのは小説を書くことしかないですし、小説は完成品であるはずなのに、「映画化がゴール」みたいな受け取られ方をすることが時々あって、違和感もあったりして。あとは、映画化されると知名度がすごく上がって、ありがたい反面、なかなか大変なこともあるんですよね。だから映像化はやめたほうがいいなあ、と思っていたんです。
『ポテチ』は、中村監督がずっと前から撮りたいと言ってくれていたんですけれど、ちょっと今は難しいかな、という感じだったんです。ただ、今年の震災の後で、なんとなく、映画化でたくさんの人が楽しめるのなら、僕の、「映画化したくない」というこだわりなんて、小さいものなのかなあ、とかいろいろ考えることがあって。それで、せっかくだから、「中村さん、映画化にまだ興味ありますか?」という話をしたら、進めてくれると。どういう映画になるのか、今は純粋に楽しみです。
──これから、どんな作品を書きたいと思っているのでしょうか?
伊坂 今はとにかく楽しい物語が書きたいんですよね。僕の気持ちの問題なんですけど、ほんと、楽しい会話とか、笑える話が書きたいなあ……と思っていて。『ゴールデンスランバー』や『モダンタイムス』からはじまった、「楽しさへの反発」の時代から、「楽しいだけでも、いいじゃないか」の時代に移行しつつある、というか(笑)。『チルドレン』のような作品とか、ああいうのもやっぱりいいよな、と思うようになってきました。いま新聞連載用の原稿を書いているのですが、そこには車同士がお喋りするシーンがたくさん出てきて、今のところは楽しいです。書いていてワクワクしています。



