いま考えていること

──2012年には『ポテチ』の映画公開がありますね。

伊坂 ここ数年、自作の映像化についてはあまり積極的ではありませんでした。いろいろ理由はあるんですけど、やっぱり、僕がやりたいのは小説を書くことしかないですし、小説は完成品であるはずなのに、「映画化がゴール」みたいな受け取られ方をすることが時々あって、違和感もあったりして。あとは、映画化されると知名度がすごく上がって、ありがたい反面、なかなか大変なこともあるんですよね。だから映像化はやめたほうがいいなあ、と思っていたんです。
『ポテチ』は、中村監督がずっと前から撮りたいと言ってくれていたんですけれど、ちょっと今は難しいかな、という感じだったんです。ただ、今年の震災の後で、なんとなく、映画化でたくさんの人が楽しめるのなら、僕の、「映画化したくない」というこだわりなんて、小さいものなのかなあ、とかいろいろ考えることがあって。それで、せっかくだから、「中村さん、映画化にまだ興味ありますか?」という話をしたら、進めてくれると。どういう映画になるのか、今は純粋に楽しみです。

──これから、どんな作品を書きたいと思っているのでしょうか?

伊坂 今はとにかく楽しい物語が書きたいんですよね。僕の気持ちの問題なんですけど、ほんと、楽しい会話とか、笑える話が書きたいなあ……と思っていて。『ゴールデンスランバー』や『モダンタイムス』からはじまった、「楽しさへの反発」の時代から、「楽しいだけでも、いいじゃないか」の時代に移行しつつある、というか(笑)。『チルドレン』のような作品とか、ああいうのもやっぱりいいよな、と思うようになってきました。いま新聞連載用の原稿を書いているのですが、そこには車同士がお喋りするシーンがたくさん出てきて、今のところは楽しいです。書いていてワクワクしています。

伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュポンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。2004年、『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞、短編『死神の精度』で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2008年、『ゴールデンスランバー』で本屋大賞、山本周五郎賞を受賞。ほかの著書に、『あるキング』『SOSの猿』『オー!ファーザー』『バイバイ、ブラックバード』『マリアビートル』などがある。

伊坂幸太郎『モダンタイムス(上)』(講談社文庫) 講談社/590円(税込)

恐妻家のシステムエンジニア・渡辺拓海が請け負った仕事は、ある出会い系サイトの仕様変更だった。けれどもそのプログラムには不明な点が多く、発注元すら分からない。そんな中、プロジェクトメンバーの上司や同僚のもとを次々に不幸が襲う。彼らは皆、ある複数のキーワードを同時に検索していたのだった。


伊坂幸太郎『モダンタイムス(下)』(講談社文庫) 講談社/590円(税込)

5年前の惨事──播磨崎中学校銃乱射事件。奇跡の英雄・永嶋丈は、いまや国会議員として権力を手中にしていた。謎めいた検索ワードは、あの事件の真相を探れとほのめかしているのか? 追手はすぐそこまで……大きなシステムに覆われた社会で、幸せを掴むには──問いかけとたのしさの詰まった傑作エンターテイメント!

敏感OL御用達のコスメ通販ならゲットコスメ
井坂好太郎黙認サイト